状況対応型リーダーシップ2

◇期待はずれに遭遇した学習者

:発達段階②

《適正能力:中 やる気:低》


私は多くの組織の現場で働く人々を見て参りましたが、仕事に時間を費やすのと引き換えに、ほかで要求を満たそういるような人がままあります。ただ生活のお金のためだけが目的で働いているように見えるのです。会社が目標を達成しようとしまいと、そんなことにはまったく関心がないように見えるのです。


だが、もしあなたが、そういった人たちが新しく仕事をはじめたころに立ち返って観察できるとすれば、彼らに最初からやる気がないなどということはきっとなかったと思います。心からやろうという気持ちを失うのは、よい仕事をしても何の変わりもないとわかったあとのことだと思います。それは、よくやっても気づいてくれないことが多いという意味です。部下が何かよいことをやっても、上司は何も言わない。ところがミスをやると、すぐにそれが耳に入る。いわゆる「放ったらかしといて・・・バッサリ」式のリーダーシップ。


人間というのは、実際に仕事を手掛けてみると、当人が考えていた以上に、その習得がむずかしいとわかり、興味を失うことがよくあります。あるいは、これだけ自分が努力しているにも関わらず、誰も見ててくれていないと考えて、やる気をなくすことがあります。また自分が必要としているだけの指示や方向づけを与えてくれていないと思うときもそうです。あるいは、伸びが鈍いとか、進捗を感じられないがために、仕事をきちんと覚える能力がないのではないかと自信を失ってしまうこともあります。


新人や新しい仕事を始めるベテランの人であったとしても、意欲ある初心者《適正能力:低 やる気:高》から、期待はずれに遭遇した学習者《適正能力:中 やる気:低》に移行することを多々見受けます。つまり少し経験を積んで、能力は少しなりとも向上しているにもかかわらず、なぜか、やる気が低下する場合が現実にあるのです。原因はここらにあるかもしれないと、その人の視点で原因を探ってみましょう。


すなわち、期待はずれに遭遇した学習者《適正能力:中 やる気:低》の人たちには、依然としてスキルを伸ばす必要があるので、引き続き指示を多く与えた方がよく、同時に部下の心配事をよく聞いてやり、その仕事の意義や、見通しを与え、その進捗を自ら実感させてあげる、または具体的に褒めてあげる『コーチ型』のリーダーシップスタイルが合っています。それがやる気を取り戻す方法なのですから。


ここで、「適正能力」の原則について学んでおきたいと思います。

・「適正能力」というのは、「知識」と「技能」の相関で成り立っていて、これは「教育」、「訓練」及び(または)「経験」を通して身につけることができるものです。適切な指示(方向づけ・命令)と援助(助力・支援)があれば、これを啓発し開発し伸展させることができるのです。それは生まれつき備わっているものではありません。教わり、自ら学び取るものなのです。(ただし、成長のスピードは人によって違うことを認識しておきましょう)


次回は、状況対応型リーダーシップ3

◇技能がありながらやる気を欠く実行者:発達段階③

《適正能力:高 やる気:まちまち》