状況対応型リーダーシップ9
◇部下の適正能力とやる気を伸ばす五つのステップ
第1のステップは『何をするかを知らせること』
第2のステップは『何をなすべきかを示す』、つまり模範行動をやってみせるのです。何をすべきかがわかれば、部下はよい遂行行動とはどんなものかを知りたくなる。そして、業績遂行行動基準がどんなものかを示すことが必要になるのです。
「この知らせることと示すことという二つのステップは、目標設定の鍵であり、指示命令的行動からはじまるのが普通です」目標と指示がはっきりすれば次のステップに移ります。
第3のステップは、『やらせてみる』ことです。ですが、リスクは相応のものでなければなりません。
第4のステップは、『遂行行動の観察』です。『指示型』を使っているときには、遂行行動をきめ細かく監督し、頻繁にモニターをすることが必要になります。このステップを忘れているマネージャーが多いように思われます。マネージャーは人を採用し、何をするかを話し、あとは放っておいても自然にうまく仕事をこなすようになると考えがちです。しかしこれでは仕事を委任しているのではなく、放棄していることになるのです。採用した人が適正能力もやる気もあるというのでない限り、まず仕事に失敗するか、そこまでは行かなくても少なくともマネージャーの期待通りにはならないでしょう。
そういう事態になると、大抵のマネージャーは、なぜ仕事がこなせないのか、うまくやれないのかと部下を追求するようになるでしょう。こういう追求は一方的です。
第5のステップは『進捗を称賛する』です。この称賛は部下の発達段階を①『意欲ある初心者』から②『期待はずれに遭遇した学習者』に、③『技能がありながらやる気に欠く実行者』へと移っていくのを助ける鍵となるわけです。そしてマネージャーからの援助は、次第に要らなくなっていくのです。しかし、その遂行行動がお世辞にもよいとは言えないときは、どうするのか、それでもその人を褒めるのか。それは褒めてはいけません。最初の目標設定に戻るのです。『どうも私はミスをしたようだ。よく理解していないことをやらせたに違いない。出発点に戻って、やり直しをしよう』と。
※それでも改善しない場合は、指示を与えつづけるのでしょうか。人によっては訓練しても、ある種の仕事には向かないという場合もあります。その場合は、進路、キャリア計画の変更や転職について話し合いましょう。お互いのために、そのようにならないように、採用と配置が如何に大切かということを改めて認識する必要があります。
マネージャーは業績遂行行動が改善されるとともに、リーダーシップスタイルを『指示型』から『コーチ型』に、『コーチ型』から『援助型』に、さらに『援助型』から『委任型』にと対応を変えていくことになります。
でも、進捗がなければ、改善の跡が見えるまで、その人の後押しや指示のやり直しを繰り返さなければなりません。つまり、マネージャーの目標は、自らのリーダーシップスタイルを次第に変えていき、部下たちがマネージャーからの監督や援助がなくても、十分にやっていけるようにすることです。
※では、叱責は、どのような人にするのでしょうか。叱責は訓練用具ではなく、怠惰や甘えなど仕事への態度を取り扱う手段なのです。仕事のよくできる人が仕事に対する態度が悪くなったときに、これを本筋に戻すのに有効です。怠惰や甘えが習慣化してしまうと、本人でも正すことが難しくなります。その人を助けてあげるために叱責するのです。但し誰かを叱責するときは、その前に必ず事実をよく知り、それらの事情を確かめる必要があります。
次回は、状況対応型リーダーシップ10
◇部下と取り決めをする
0コメント