状況対応型リーダーシップ5
◇リーダーシップスタイルを柔軟に使い分ける
まず、ここまでの振り返りとともに、いくつかの方程式をまとめてみましょう。
・発達段階① 意欲ある初心者:《適正能力:低 やる気:高》
⇒スタイル1『指示型』のリーダーシップスタイル:マネージャーは具体的な指示命令を与え、仕事の達成をきめ細かく監督する。
・発達段階② 期待はずれに遭遇した学習者:《適正能力:中 やる気:低》
⇒スタイル2『コーチ型』のリーダーシップスタイル:マネージャーは引き続き指示命令を与え、仕事の達成をきめ細かく監督するが、決定されたことも説明し、提案を出させ、見通しを与え、前進できるように援助する。
・発達段階③ 技能がありながら自信を欠く実行者《適正能力:高 やる気:まちまち》
⇒スタイル3『援助型』のリーダシップスタイル:マネージャーは仕事の達成に向かって部下の努力を促し、援助し、意思決定に関する責任を部下と分かち合う。
・発達段階④ 自律した実行者:《適正能力:高 やる気:高》
⇒スタイル4『委任型』のリーダーシップスタイル:マネージャーは意思決定と問題解決の責任を部下に任せる。
これらはマネージャーが誰かに影響を与えようとするときに利用できる、基本的な二つのリーダーシップ行動、つまり『指示・命令的行動』と『支持・援助的行動』の二つを組み合わせたものです。指示的行動は三つの言葉、すなわち「構造化する(仕事の仕組みづくりをする)」、「コントロールする」、「監督する」で定義できます。援助的行動は「称賛する」、「傾聴する」、「促進する」といった言葉で表現されます。
能力とやる気について
・「適正能力」というのは「知識」と「技能」との相関で成り立っていて、これは「教育」、「訓練」及び(または)、「経験」を通じて身に着けることができるものである。
・「やる気」というのは「自信」と「動機づけ」が結びついたものです。自信というのは、人間の持つ自己確信。動機づけというのは、仕事を立派にやり遂げることへの関心(興味)と熱意です。
ここであなたに質問です。仮に私があなたのマネージャーだったとします。そしてあなたは状況対応型のリーダーシップスタイルを学びたいと思っています。私はあなたのマネージャーとして、どのようなリーダーシップスタイルであなたに接したらいいと思われますか?
答えは、状況を診断しないとわからないということ、そして、あなたのニーズは何かということ、私のニーズを伝えるということ、そして何より納得合意するということ。
部下の立場になれば、今まで見えなかった世界が見えてきましたね。そう、私の仕事は、あなたがあなた自身の目標を達成するために、あなたの要求に応えることなのです。
リーダーシップスタイルを柔軟に使い分けるためのスキルとしては、三つが絡んでいます。
①いろいろなリーダーシップスタイルを柔軟に使い分けなければならない
②監督している部下たちの要求(ニーズ)を診断する方法を身につけなければならない
③部下たちと何らかの合意をとりつける方法、つまり部下があなたから必要とするリーダーシップスタイルについて取り決めをかわす方法を知り、使いこなせなせなければならない
言葉を換えて言えば、こうした三つのスキルとは、『柔軟性』、『診断力』、そして『取り決め』をすることなのです。
つまり、優秀なマネジャーというのは、柔軟性があって、リーダーシップの四つのスタイルを使いこなせる人なのです。これらは、成果を出し続けみんなから愛される企業のリーダーシップ行動を体系的に分析し導き出した「人のマネジメントの方程式」です。
とても人間観に基づいた原理原則なのです。
次回は、状況対応型リーダーシップ6
◇平等でないものを平等に扱うほど不平等なことはない
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