状況対応型リーダーシップ11
◇リーダーシップスタイルをどう取り決めるか
取り決めというのは遂行行動計画づくりの一環であり、毎日のコーチングとカウンセリングを定めるものです。最も重要なのは、おそらくこの部分だと思います。しかし、会社もマネージャーもほとんどがそれを行うのを忘れています。
たとえば、あなたが私の部下で賃金給与管理を担当しているとしましょう。ここでのプロセスは、まずあなたの業務に関する重要目標を3つほど、われわれ二人で決めていくことから始めます。次に、われわれは一つずつの目標に関して、今後6カ月間の業績達成基準を作ります。もちろん、目標設定の場合、あなたが経験も知識も豊富ならば、あなたは大いに口を出すことになるし、経験も知識も未熟ならば、私が先導することになります。これによりよい仕事とはどういうことかについて、意見が一致するでしょう。でも、ある目標について意見が一致しなかったり、ある程度意見は交換したものの、それでも食い違いが解決できない場合は、『ゴールデンルール』を適用します。それは、マネージャー(上司)が決めるということです。
部下がひとたび目標をはっきり知れば(最終試験の問題を手に入れる)、その目標を助け(解答を覚え)て、業績評価(最終試験)のときに高い評点(A点)が取れるように、できるだけのことをしてやるのがマネージャーの仕事になります。つまり『連戦連勝』の状況を創ってやるということです。
次に、目標を設定し、測定法と業績基準について同意したあとに、リーダーシップスタイルの取り決めという運びになります。取り決め方法の次のステップは、われわれが同意した目標の一つ一つについてあなたと私が個別にその発達段階を分析します。個別にというのは、あなたも私もということです。そこで大切になるのが、コミュニケーションのルールです。「あなたが先に話すとすれば、私の仕事はあなたの分析を聞くことであり、何か意見を述べる前に、あなたの話をどのように聞き取ったかを説明しなければなりません」お互いに相手の話をよく聞き終わったあと、分析結果の類似点や相違点を話し合います。発達段階の分析では、意見の相違が解決できない場合、例の『ゴールデンルール』は適用せず、軍配は部下の側にあがります。たとえば、あなたは独り立ちのできる発達段階だと思い、私は監督が必要な発達段階だと考えたとしましょう。その場合、われわれはあなたの判断で進みます。しかし条件が一つつきます。われわれは、1カ月間でどういう結果が出せるかについてすり合わせをし、遂行実績を一緒に観察できるようにしなければなりません。
特定の目標について『委任型』が必要だと合意した場合、われわれのこうしたコミュニケーションの責任者は、部下側になります。何かが必要ならば部下側から連絡すべきです、『委任型』が必要な場合だと合意した場合は、具体的には「あなたの仕事がうまく展開し、それを認めて褒めるのに最上の方法はないかな・・・1週間おきに昼食でも?」昼食を一緒にと決まれば、私の役割はあなたのやったことをよく聞いてその実践行動を援助することになるのです。『コーチ型』に同意したとすると、今度は上司が責任者です。「一週間に2度ミーティングを入れよう。そして援助が必要な目標について、少なくとも1時間は話し合おう・・・月曜と水曜の午後1時から2時まではどうだろう」などと。リーダーシップスタイルは、一度それが決まると、部下に会うミーティングの回数や頻度や性格までも決めることになります。
どんどん成長を続けているかぎり、マネージャーはリーダーシップスタイルを変えていきます。ですから1年が終わるころには、業績遂行記録からはもちろんのこと、マネージャーのリーダーシップスタイルの変化から、部下は自分の明らかな成長をつかめるようになるのです。
次回は、状況対応型リーダーシップ12
◇部下を肯定的に見る
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